コンピュータの分解による内部構造の理解
(2004年10月5日改訂版)
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1.はじめに

 高等学校では、2003年度から新学習指導要領の開始に伴い情報科が新設されました。時代としてはますますコンピュータに依存する傾向が強まり、コンピュータの普及率も年々高まってきています。現在学校に整備されているコンピュータは、重要な備品として大切に扱われています。しかし、それを“未知の物”としてのコンピュータではなく、“内部構造をもつ物”としてのコンピュータを解き明かしてゆくことに重要な意味があると私たちは考えています。
 私たちコンピュータ部では、部員が少ないなかで、いくつかの柱を作りました。それは、2002年度の文化祭から始めているフラクタル描画、およびコンピュータの分解、HP作り、プログラミングです。しかし、学校には私たちが分解しても良いコンピュータはありませんでした。そこで、2003年には部員に呼びかけたり、知り合いに当たったりしながら、コンピュータを入手できるように努力しました。そのなかで、部員の一人が、家庭でいらなくなったコンピュータ(NEC VALUESTAR PC-9821V13、以降V13機)を学校に持ってきてくれました。また、NPO(非営利活動法人)を通じて企業の廃棄したコンピュータ(DELL OptiPlex G1、以降DOS/V機)の寄贈を受けることになりました。その他、愛知工業大学の廃棄されるコンピュータ(NEC PC-9821Xa200、以降Xa200機)を譲り受け、分解実験の基盤が整いました。
 作業の主な流れとしては、2003年7月に部員から譲り受けたパソコンのカバーを開けて中を見てみました。次に、同年8月に愛知工業大学で行われた「まるごと体験ワールド」でのパソコン分解講座に参加し、廃棄予定のパソコンなどを徹底的に分解しました。8月の終わりには、パソコンを分解するための工具、清掃用品などを購入し、V13機のメインテナンスを行いました。9月に入って、再び愛知工業大学のS先生の指導のもと、愛知工業大学の廃棄予定のXa200機と、実際に学生が使用しているNEC PC-9821Xc13の解体、組み立てをおこないました。また文化祭の直前には、DOS/V機も入手し、文化祭において分解実験をおこないました。

2.コンピュータの内部構造

コンピュータの内部構造を調べるにあたり、分解作業の前にインターネットの検索を使用し、コンピュータの各部分について調べました。

マザーボード
パソコンの主となる基盤部分です。主にCPUの種類ごとに分類され、Pentium系(Intel)とAthlon・Duron系(AMD)の2つに分けられます。2つはまた、いくつかの種類に分けられ、ビデオ機能、サウンド機能の有無によりいくつかの種類に分類されます。

CPU
パソコンの性能を左右する中心部品で、中央演算処理装置(Central Processing Unit)の略です。コンピュータの中で各装置の制御やデータの計算、加工を行う中枢部分です。CPUの処理能力はクロック周波数で表され、大きいほど高速になります。
現在発売されているパソコンに搭載されているほとんどのCPUは、Intel社のPentium 4、CeleronやAMD社のAthlon XPです。ノートパソコンには、Transmeta社のCPUが使われていることもあります。今のところのいちばん速いCPUは、Pentium 4(HTテクノロジ)の3.20から3.40GHzです。

メインメモリ
パソコンで扱うRAM(Random-Access Memory、書き込み可能記憶メモリ)ボードのことです。コンピュータ内でデータやプログラムを記憶する装置で、主記憶装置とも呼ばれます。また、メモリで読み書きされたデータは、電源を切ると内容は失われてしまいます。
マザーボードによって、対応する種類が違います。また、計算速度にもいろいろな種類があります。

チップセット
CPUやメインメモリ、各種ディスクドライブ、拡張カードなどでやりとりされるデータの制御を行います。チップセットという名称は、多くのチップセットが2個以上のLSI(チップ)から構成されていることが由来となっています。CPUとメインメモリ、グラフィックカードを制御する部分とその他の部分に分かれるものが現在主流です。

バス
CPUやメインメモリ、各種ディスクドライブ、拡張カードなどパーツとチップセットを接続した、データの通り道のことです。バスが高速であるとパソコン全体の速度も向上します。

外部記憶装置(補助記憶装置)
外部記憶装置にはハードディスクドライブ(HDD)をはじめそのほかの記憶装置があります。磁気で記録されるものと光学式のものがあり、持ち運べるものと持ち運べないものがあります。
ハードディスクドライブは、古いものでは500MB(メガバイト)から、新しいものでは400GB(ギガバイト)までのものがあります。現在の主流は160GBから250GBのHDDです。
最近では、書き込み可能な持ち運べるディスクも登場しており、CD-R/RWやDVD-R/RW、DVD+R/+RW、DVD-RAMといった光ディスク系の記憶装置や、SDメモリーカード、スマートメディア、メモリ−スティック、マルチメディアカード(MMC)などに対応する様々な外部記憶装置が開発されています。

3.コンピュータ分解実験の記録

準備にあたって
準備にあたっては、まず道具を購入しました。購入したものは、ドライバー、ラジオペンチ、ピンセット、紙皿といった、分解するのに最低限必要なものの他に、OAクリーナー、電機接点クリーナー、ハンディーツールセットです。
はじめは手探り状態からの出発であったため、一つ一つパーツを外してつなげ、動作確認を行って掃除をするところから、解体の練習を始めました。

コンピュータ分解に力点を置いた今年の活動
2003年度、コンピュータ部では主にパソコンを分解し内部を知ることに重点を置きました。それは、内部を知ることによって、パソコンのソフトウェア、ハードウェアなどパソコンを利用する上でいろいろなところに役立つと考えたからです。
まず2003年6月、ある部員のいらなくなったパソコン(V13機)を譲り受け、分解、清掃、OSの再インストールを行いました。続いて8月と9月に、愛知工業大学で行われたパソコン分解講座に参加し、パソコンを分解しました。

愛知工業大学でのパソコン分解講座(2003年8月2日)
機種:NEC PC-9801BX、PC-9801NS、PC-9821Xnなど

2003年8月2日に、私たちは愛知工業大学で行われた「まるごと体験ワールド」のパソコン分解講座に参加しました。会場には小中学生、一般の方をはじめとして50人ぐらいが集まり、大学内で使われた古いデスクトップパソコン、ノートパソコンやCRTディスプレイ、プリンタ、ビデオデッキなどを、ドライバーなどを使って好きなだけ分解しました。この講座で、パソコンの内部をよく知ることができました。また、分解した部品は持ち帰ることができました。

学校でのパソコン分解とメインテナンス(2003年8月21日)
機種:NEC PC-9821V13

部員の使わなくなったパソコンで、分解・部品の清掃をしました。接点クリーナーで接点を保護し、ハードディスクやCD-ROMドライブなどの部品を外した後、再び接続して正常に起動するかどうかを確かめました。また、OSの再インストールなどをしました。この作業によって、パーツを外すことに対してある程度の自信を持つことができました。

愛知工業大学でのパソコン分解・組み立て実験(2003年9月15日)
機種:NEC PC-9821Xa200、PC-9821Xc13

前の分解講座では、パソコンを分解して楽しみながら内部の構造を知りました。今回は、学生たちが使うコンピュータ室で実際に使用しているパソコンを使って分解した後、それをもう一回元の状態に戻すことに挑戦しました。そして2003年9月15日に、私たちコンピュータ部は、愛知工業大学のS先生にお願いして、特別に分解・組み立て実験をさせてもらうことができました。まずは普通にねじをとって分解し、その後、ねじの形状を確かめて元に戻しました。そして、正常に起動するどうかを確かめました。大学生が実際に使用しているパソコンを分解するとのことでやや不安がありましたが、これまでの経験をフルに動員してパーツをすべて分解・掃除して、再び元に戻すことに成功しました。

文化祭の発表、NPOから寄贈されたパソコンの分解(2003年9月17日)
機種:DELL OptiPlex G1

文化祭は9月17日と18日に行われ、フラクタルの作品やパソコンの部品の展示、パソコンの分解実演を行いました。また、NPOから寄贈されたパソコンを使ってパソコンの解体実演を行いました。ただ、このDell社製のDOS/V機は増設を前提としたパソコンであり、分解、組み立てがほかのパソコンより楽で、簡単に分解することができました。また、きれいに掃除されていたので、分解の面白みはあまりありませんでした。しかし、それまでの機械と違ってDOS/V機であるので今後の活用に対して大変楽しみです。

4.まとめ

以上のような分解実験を通して、楽しみながらパソコン分解ができました。そして、パソコンが意外と多くの部品からできていることに気づき、CD-ROMドライブや、CPUなど1つ1つのパーツの名称、形がよく分かりました。また、分解して掃除をしながら元に戻す作業の中で、いろいろな外し方を試しましたが、その結果起動するには最低限マザーボードにCPU、メモリ、ハードディスクがあればよいということが分かり、またそれらの中心となる部品とその周辺の部品との相互関係を知ることができました。

今後、パソコンが私たちの日常生活において、さらに重要な存在になっていくことに違いありません。パソコンの普及率が高まっていると冒頭に書きましたが、例えばインターネットに関しても、ダイアルアップ回線よりも速いブロードバンド回線(ADSL、FTTHなど)への加入率も急速に上がり、それに伴って新しいインターネット関連サービスも増え、用途も多様化してきています。
しかし、パソコン普及のきっかけとなった家庭用OS「Windows 95」が発売されてから間もなく10年が経ちますが、現在でもなお、パソコンの内部構造のことを知っている人はそれほど多くはありません。コンピュータを使うことはできていますが、ひょっとしたら私たち人間がコンピュータに使われているのかもしれません。
コンピュータを知って始めてコンピュータを使うことができるのだと思います。パソコンを分解して内部の様子を知ることは、訳の分からない『何か』ではなくて、中の仕組みを持った“物”としてコンピュータを理解していくことです。そのため、ぜひ多くの人がパソコンの内部を見て知ってほしいと思います。パソコンの内部を知ることによって、パソコンに対して身近さを感じるようになると思います。もちろん、学校の情報科などでパソコンの内部のことを教えてもらえば良いのですが、すべての学校に情報科が設置されているわけではないので、今のところは無理のようであります。
また、現在学生が自由に分解してもよいパソコンを必要としている学校は多いですが、そのようなパソコンが現在あまりありません。前述のESPのように、企業などでいらなくなったパソコンを回収し、教育用に提供する団体はありますが、それでもほとんどのパソコンは廃棄されてしまいます。それらのパソコンをもっと教育用に使用できればよいと思います。
これからも、新入部員にパソコンの部品や内部構造のことを教えていき、パソコンの分解に慣れてほしいと思っています。そしてパソコンの内部のことを理解したら、今度はパソコンを、文書・ホームページ作成、プログラミング、ゲーム、音楽・画像・動画の作成、編集、再生などに最大限に利用してもらえたらと思います。
パソコンの中を見る機会はそれほど多くないので、見られて良かったと思いました。また、愛知工業大学で行われたような分解講座などが増えていくといいなと思いました。


Intel、Pentium、CeleronおよびIntel Insideロゴは、Intel Corporationの登録商標です。AMD、Athlon、DuronおよびAMD Arrowロゴは、Advanced Micro Devices.Incの登録商標です。OptiPlexは、Dell.Incの登録商標です。WindowsおよびWindowsロゴは、Microsoft Corporationの登録商標です。


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